「うちは中小企業だから、サイバー攻撃者には興味を持たれない」── これは、現場を知らない経営者の典型的な誤解だ。
誤解の構造
「ハッカーは、ビッグな獲物を狙うものだろう」── 多くの経営者がこう考える。映画や小説のイメージが先に立つから無理もない。
だが現実は違う。警察庁の令和5年統計では、国内のランサムウェア被害企業の 102/197件(約52%)が中小企業だった。
これは「中小企業がたまたま多かった」のではない。中小企業こそが主な標的なのだ。
なぜ中小企業が狙われるのか
理由1: 攻撃は自動化されている
今の攻撃は、人間が1社ずつ選んで仕掛けるものではない。24時間、無差別に、全てのサーバーに対して試行される自動スキャナーが主役だ。
スキャナーは、相手の企業規模を見ない。見るのは:
- ポートが開いているか
- VPN機器のバージョンは何か
- WordPress が入っているか
- 既知の脆弱性が放置されているか
このチェックに引っかかった時点で、企業規模に関係なく「侵入試行対象」になる。
理由2: 中小企業は対策が手薄
専任のセキュリティ担当がいる中小企業は、ほぼない。IT業者に“丸投げ”のケースが多く、脆弱性管理やパッチ適用が後回しになりがち。
攻撃者側のROI(費用対効果)で考えると、守りが固い大企業より、守りが甘い中小企業の方が、圧倒的に“刈り取りやすい”標的だ。
理由3: サプライチェーンの踏み台
大企業の防御を正面突破するのは難しい。だから攻撃者は、大企業と取引のある中小企業を狙う。中小企業に侵入 → 信頼関係を使って大企業に侵入、という手口が増えている。
アスクル事件(2025年10月)で無印良品・ロフトのECにまで影響が波及したのは、まさにこの構造だった。
中小企業が持つべき冷静な認識
- “小さい” は防御の理由にならない(むしろ逆)
- “知名度が低い” も防御の理由にならない(スキャナーは知名度を見ない)
- “狙われていない” ではなく、“気づいていない” だけの可能性が高い
→ 詳しくは サイバー攻撃を知る 解説ページで、国内被害事例・侵入手口・業界動向を網羅している。
対策は、特別なことではない
対策は、派手なソリューションではない。基本を淡々と:
- 偵察段階のアクセスを永久遮断する
- VPN・RDPのパッチを当て続ける
- 不要なサービスは閉じる
これだけで、攻撃者側のROIが悪化し、「次の標的」へ流れていく。
ANCHOR Defense は、まさにこの「偵察段階で遮断する」思想で中小企業向けに設計している。
30年、現場で業務改善を見てきた立場から言う。派手な対策より、地味な基本の積み上げが効く。この原則は、業務改善でもセキュリティでも同じだ。
