ランサム被害企業を観察していると、業種・規模・地域に関わらず、たった1つの共通点が浮かび上がる。

共通点: “入口の管理” が甘い

ランサムウェア被害の経路を、警察庁は毎年統計化している。令和5年の数字がすべてを物語る:

侵入経路 割合
VPN機器の脆弱性 約63%
リモートデスクトップ(RDP) 約18%
不審メール・添付 約4%
その他 約15%

つまり、ランサム被害の8割以上が、“社外からの入口” の設定ミスか放置が原因なのだ。

ハッカーは、賢い新技術で侵入してきているわけではない。鍵のかかっていないドアを、順番に試して回っているだけだ。

典型的な侵入シナリオ

シナリオ1: 古いVPN機器

2020年のコロナ禍で急いで導入したVPN機器。当時のファームウェア、当時のパスワードポリシー。

→ 自動スキャナーが数秒で発見 → 既知脆弱性で侵入 → 管理者権限奪取 → ランサム展開

アサヒグループホールディングス(2025年9月)の被害も、VPN経由と推測される案件だった(※会社は詳細を公表せず)。

シナリオ2: パスワードだけのRDP

テレワーク用に開けた遠隔操作ポート。パスワードが “password” とか “社名123” のまま。

→ 総当たり攻撃で、1時間と持たない。

シナリオ3: 多要素認証の例外

「VIP だから」「忙しいから」と、多要素認証を例外設定していたアカウント。

→ そのアカウントが入口になる。

シナリオ4: 委託先経由

自社は守っていても、業務委託先が侵入される。

→ タイムズカーシェア事件(2026年9月)も、委託先(日本テレネット)経由のパターンだった。

中小企業の経営者がすべきこと

被害企業の共通点が “入口” にあるなら、やるべきことは明確だ:

1. VPN機器の棚卸し

  • どのVPN製品を使っているか
  • ファームウェアのバージョンは
  • 最新パッチが当たっているか

2. リモートデスクトップの封鎖

  • 本当に必要なユーザーだけに
  • IPアドレス制限
  • 多要素認証を例外なく全員に

3. 偵察段階での遮断

  • 怪しいアクセスは “1回で永久ブロック”
  • 2回目を試させない

これらは、派手な製品を買わなくても実現できる。地味だが、本質的に効く。

→ ANCHOR Defense は、この “偵察段階で遮断する” 設計を、月1.5万円で中小企業向けに提供している。 → サイバー攻撃の仕組み全体を知りたい方は サイバー攻撃を知る へ。


被害企業に共通するのは、「怠慢」ではない。「見えていない」だけだ。

経営者が入口の実態を把握する ── これが、全ての始まりだ。